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骨とワニが好きなデザイナーです

【読書メモ】「LEAN IN」を読んで「キャリアとの向き合い方」についてまとめた

本日の読書メモは、Facebookの「女性」COOシェリル・サンドバーグ著「LEAN IN」。社会的弱者としての女性という立場から書かれているので、男性には幾分読みにくさがあるのかもなあと思ったのですが、内容的には男女関係なくオススメしたい良書です。

社会からの期待とバイアス

ジェンダー・バイアス

今日では食物を得るために狩りをする必要はないのだから、リーダーになりたいという欲求が芽生えるかどうかは、社会的・文化的な要因や環境に大きく左右されると考えられる。男に何ができて何をすべきか、女に何ができて何をすべきか、といったことには、多分に社会的な期待が反映されている。(Kindle, location 385)


十分な実力がありながら理由もなく自信をもてずに悩む症状には、ちゃんと名前が付いている。インポスター・シンドロームというのだ。インポスターとは「ペテン師」のことである。(Kindle, location 584)


じつは職場では、男も女も女性にあたたかさややさしさを求め、自分のために時間を割いてくれることを期待する。このように女性に過大な期待をかけるので、それに相手が応えてくれないと、怒ってしまうというわけである。「女性エグゼクティブが女に冷たいとか意地悪だとか非難される大きな理由の一つは、ここにあるのではないかと思う」とシャロンは話す。「つまり私たちは、女性の上司と男性の上司に対して、ダブル・スタンダード(対象によって異なる二重基準)をもっているようだ」(Kindle, location 3275)


成功した男は男からも女からも好かれるが、成功した女は男からも女からもあまり好かれない。(Kindle, location 796)

Yahoo!CEOのマリッサ・メイヤーさんは何かと話題にされがちですね。

マリッサの件が示すように、高い地位に昇った女性は厳しい目で見られることが多い。リーダーの大半を男性が占める現状では、女性リーダーの一つのケースを一般化することはできないはずである。にもかかわらず、女性リーダーに何か落ち度があれば、それが女性代表のようにみなされがちだ(*6)。(Kindle, location 3192)


女性によるジェンダー・バイアスは正当なものとみなされる傾向がある。女性が女性に対してバイアスをもっているはずがない、というわけだ。だが、そうとは限らない。女性は、多くの場合そうと気づかないまま、女性を軽視する風潮を自分の中に取り込み、無意識に態度に表している。だから、女性は性差別の犠牲者であると同時に、加害者にもなり得る。(Kindle, location 3251)

気をつけるべきこと

より平等な世界を真剣にめざすなら、女性が手を挙げつづけない傾向があることをまず認識しなければならない。そして、より多くの組織や個人がこうした傾向に気づき、女性を励まし、背中を押すとともに、女性自身も手を挙げつづけることを学ぶ必要がある。手を下ろしてしまったら、どれほど注意深い上司でも、もう気づくことはできない。(Kindle, location 740)


見境なく議論にジェンダーを持ち込まないよう、私たちはよくよく注意しなければならない。たとえば、女性の雇用や昇進にたいへん理解と熱意のある男性CEOが、女性社員と昇進について話すとしよう。この女性は、自分にはもっと高い地位がふさわしい、現在過小評価されているのは自分が女だからだ、と言い出す。この瞬間にCEOは話し合いに応じられなくなってしまう。彼女は自分の真実を話したのかもしれないが、この場合のそれは面倒な法律問題を伴う非難となる。問題を男女差別の枠組みで捉えた瞬間に、CEOは建設的な話し合いを打ち切り、労務関係の専門家を呼ばざるを得ない。この女性社員は単に、自分は会社にこれこれの貢献をした、だから昇進に値する、と言えばよかったのである。(Kindle, location 2989)

親になることとキャリア

周囲からのプレッシャー

キャリアはマラソンだと想像してほしい。長い距離を苦労しながら走りつづけ、ようやく最後に努力が報われる。このマラソンのスタートラインに男性ランナーと女性ランナーがついたとする。どちらも同じだけ練習を積み、能力も甲乙つけがたい。二人はヨーイドンで走り出し、並走を続ける。沿道の観衆は、男性ランナーに「がんばれー」と声援を送りつづける。ところが女性ランナーには「そんなに無理するな」とか「もう十分。最後まで走らなくていいよ」と声をかけるのである。距離が伸びるほど、この声はうるさくなる。男性ランナーには相変わらず「いいぞ」「その調子」と声援が飛ぶのに、女性ランナーに対する声にはしだいに疑念や懸念が含まれるようになり、ときには敵意さえ混じるようになる。そして女性ランナーが喘ぎながらもなんとかゴールをめざそうとすると、見物人はこう叫ぶのだ──「どうして走りつづけるんだ、子供が家で待っているのに?」Kindle, location 1997)

社会的なプレッシャーは、当然ながら女性だけでなく男性にもあります。

父親のための休暇や就業時間短縮など家庭にやさしい制度が用意されれば万事解決するかと言えば、そうではない。これを利用したら仕事への熱意が足りないと思われるのではないか、と男も女も心配する。そしてこれは、根拠のない不安ではない。こうした恩典を利用した社員は、手ひどいしっぺ返しを喰う──給与を大幅にカットされる、昇進のチャンスを失う、左遷される、等々だ。家庭優先だとみなされれば、男も女も仕事で不利益を被るが、男のほうが払う代償は大きい。男性は病気の子供を看病するために休暇をとるか、早退するだけで不利になる。職場でからかわれるだけならまだしも、昇級や昇進のチャンスを失うことさえある。(Kindle, location 2275)


私たちは多くのものを勝ち得たけれども、今日なお女性も男性も真の意味での選択肢はもっていない。パートナーが家事や育児を分担するようになり、そして雇用主と同僚から理解と協力を得られるようになるまで、女性に真の選択肢はない。と同時に、家事や育児を引き受ける男性が理解と尊敬を得られるようになるまで、男性にも真の選択肢はない。(Kindle, location 3162)

仕事と家庭は二者択一なのか

子育てのために仕事を辞めるのはその必要ができたとき、つまり子供が生まれたときだということである。その前ではない。まして何年も前ではない。実際に子供が生まれるまでの年月は、けっして後退りする時期ではない。前に進むべき大切な時期である。(Kindle, location 1885)


女性の多くは、仕事を辞めるという一大決心はしなくとも、家庭をもったときに備えて微調整をするとか、ささやかな犠牲を払うといった、小さな決断を何度も積み重ねていく。こうしてつねに控えめに遠慮がちになり、表舞台から引っ込んでしまう。職場を離れる前から、心は離れてしまっているのである。(Kindle, location 1845)

私もまさにこうした考えにハマっていたので、将来のために今を諦めないよう意識しようと思いました。今を諦めると将来もない。

「有望なスタートアップを起業するのと同時に赤ちゃんを育てるのは絶対に両立不能だと考えるのをやめ、可能かどうかを確かめる問題として捉えることにした。そして、答えを見つけるために、自分が開発したツールを使ってみた」。(Kindle, location 1915) そして出した結論は、夫や友人のサポートを得られるチーム文化があれば両立は十分可能だ、というものである。(Kindle, location 1919)


母親のみによる育児は、子供の発達の度合いを向上させるとも低下させるとも言えない。したがって母親が働くことを決めたとしても、子供にとって害になると感じるべき理由は何一つない」(Kindle, location 2712)


「すべてをこなせるだろうか」と悩むのはやめ、「自分と家族にとっていちばん大事なことをできるだろうか」と問うことだ。私の目標は、子供たちがしあわせで、元気に成長すること。聖パトリックの日に緑のTシャツを着せるのは、そうできればいいけれど、できなくてもいい。(Kindle, location 2773)

「怖がらなければ何ができる?」

大事なのは自分をどう呼ぶかではなく、男であること、女であることが与える影響について発言する意志をもつことである。バイアスが存在しないふりをしたり、それについて沈黙を続けたりすることは、もうやめよう。ハーバード・ビジネススクールがやってのけたように、より平等な環境をつくれば、組織としての生産性が上がるだけでなく、すべての人がよりしあわせになれるのだから。(Kindle, location 3146


「みなさんが世界を変えていくことを世界は必要としているのです。世界中の女性がみなさんを頼りにしています。だから、自分にこう問いかけてください。怖がらなければ何ができる? そして、それをやりましょう」(Kindle, location 534)

【読書メモ】「HARD THINGS」を読んで「困難との闘い方」についてまとめた

本日の読書メモは、シリコンバレーで圧倒的な存在感を誇るベン・ホロウィッツの著作「HARD THINGS」。ベンチャー経営にまつわるあらゆる困難についておそろしく真に迫った筆致で描かれていて、経営者ではない私が読んでもドキドキしました。

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

困難との闘い方

人でも物事でも、よく知る努力をしない限り、何も知ることはできない。知ることに近道はない。特に個人的な経験によって得られる知識に近道はない。努力なしの近道や手垢のついた常識に頼るくらいなら、何も知らないほうがよほどましだ。(Kindle, location 230)


私が起業家として学んだもっとも重要なことは、何を正しくやるべきかに全力を集中し、これまで何を間違えたか、今後何がうまくいかないかもしれないかについて無駄な心配をすることをやめるという点だろう。(Kindle, location 3435)


困難だが正しい決断をするたびに、人は少しずつ勇気を得る。逆に安易な間違った決断をするたびに、人は少しずつ臆病になっていく。(Kindle, location 3640)


苦闘は失敗ではないが、失敗を起こさせる。特にあなたが弱っているときにはそうだ。弱っているときは必ず。(Kindle, location 1279)


どの会社にも、命懸けで戦わなくてはならないときがある。戦うべきときに逃げていることに気づいたら、自分にこう問いかけるべきだ。「われわれの会社が勝つ実力がないのなら、そもそもこの会社が存在する必要などあるのだろうか?」Kindle, location 1703)

経営者として直面した困難とそこでの対応

不可能と思われたラウドクラウドのシリーズCの調達ラウンドとIPO手続きを通じて、私はある重要な教訓を得た──スタートアップのCEOは確率を考えてはいけない。会社の運営では、答えがあると信じなきゃいけない。答えが見つかる確率を考えてはいけない。とにかく見つけるしかない。(Kindle, location 1241)

レイオフについて

人は働いた日々を全部覚えてはいないが、レイオフされた日のことは必ず覚えているからだ。レイオフされた日のことは細部にわたって覚えていて、その細部が大きな違いを生む。あなたの会社とマネジャーたちの評判は、あなたが毅然とした態度で自分を信じ、自分のために精いっぱい働いた社員たちと向かい合えるかどうかにかかっている。もし私があなたに雇われ、必死にあなたのために働いていたら、レイオフはあなたの口から知らされたい。(Kindle, location 1420)


解雇される幹部は自分の解雇が社内や社外にどう伝わっていくか気になるものだ。これは本人に決めさせるのがよい。かつてビル・キャンベルは、私がある幹部を辞めさせる準備をしているとき、決定的なアドバイスをくれた。彼はこう言った。「ビル、きみは彼に仕事を続けさせることはできないが、彼の自尊心を守ることは、間違いなくできるんだよ」(Kindle, location 1545)


「あなたがクビにした社員は、自分は職務上何を期待されていたかを理解していたか? そしてその期待を自分が達成できていないと理解していた、とあなたは確信できるか?」Kindle, location 1983)

採用について

自分は何が欲しいのかを知る一番の方法は、その役割を演じてみることだ。肩書だけでなく、実際に行動するという意味だ。(Kindle, location 2252)


あなたが雇おうとしているのは、架空の会社で働く概念上の幹部ではない。自分の会社の今この瞬間にとって、正しい人物を雇わなくてはならない。(Kindle, location 2240)


経験を積めば積むほど、社員一人ひとり(自分を含む)に何か重大な問題があることに気づく。完全な人間などいない。だから、弱みがないことではなく、強みが何かで人を選ぶことが絶対的に重要だ。誰にでも弱点はある。人によって見つけられやすさに違いがあるというだけだ。弱点のない人間を雇おうとすることは、心地よさを最優先することを意味している。そうではなく、自分が必要としている強みを見つけ出し、その分野で世界レベルの人物を探すべきだ──ほかの重要度の低い領域に弱点を抱えていたとしても。(Kindle, location 2247)

社員のスキルと評価について

その社員が将来のスケーリングに対応できるかどうかが問題なのではない。その社員が現在の業務に対応できているかどうかが問題なのだ。社員を評価するときは、スケーリングなど特定の問題だけを評価せず、必ずパフォーマンスを全体として評価しなければならない。特定の側面だけに気を取られると誤った予断に陥りやすい。(Kindle, location 3368)


一般社員の場合には、それぞれが独自に自分のキャリアパスの充実を考えてもよい。しかし経営に携わる上級社員の場合には、動機が重要だ。間違った動機を持った人物に正しい結果を期待するのは危険な考えである。(Kindle, location 2764)

マネジャーとしての困難

プロダクト・マネジメントについて

良い製品マネジャーは目標の「What」(すなわち「何をすべきか」)を明確に定義し、「How」(すなわち「どうやったらできるか」)ではなく、その「What」が実現するまでを管理する。悪い製品マネジャーは、「How」を思いついたときに、最高の気分に浸る。良い製品マネジャーは、エンジニアリングチームと書面と口頭の両方で明瞭にコミュニケーションを取る。良い製品マネジャーは、非公式に指示を出さない。良い製品マネジャーは、非公式に情報を収集する。(Kindle, location 2054)


私が望んだのは、優先順に挙げれば、顧客に愛され、品質が高く、納期が守られる、そんなすばらしい製品だった。残念ながら、私が設定した指標はこれらの優先順位を考慮していなかった。基本的に、指標とはインセンティブである。品質、機能、スケジュールを評価し、毎回のスタッフミーティングで指標について議論することによって、部下たちは指標に集中し、ほかの目標には目もくれなくなった。指標が真の目標を言い表していなかった結果、私はチームに目標を見失わせていたのだ。(Kindle, location 2341)

チーム・マネジメントについて

アンディ・グローブ曰く、マネジャーが社員の生産性を改善する方法はふたつしかない。動機づけと教育だ。(Kindle, location 2025)


フィードバックがなければ、会社にはあらゆる意味で最適な実績を上げるチャンスはない。修正なき方針は、曖昧かつ鈍重に見える。人は、自分が気づいていない弱点を直すことはまずない。フィードバックを与えなかったために支払うことになる究極の代償、それは構造的に破綻した会社業績だ。(Kindle, location 2434)


フィードバックを与えるのは相手の成功を助けるためであり、失敗を願うからではない。相手の成功を願っているなら、それを相手に感じさせよ。感情を伝える努力をせよ。(Kindle, location 3935)


水で薄めたあいまいなフィードバックは相手を混乱させ、対処を迷わせるだけなので、いっそフィードバックを与えないほうがましだ。ただし、意地悪くあってはならない。鈍感であるのもいけない。不必要に権威を振りかざしたり、欠点を執拗に指摘したりするのは、慎まねばならない。フィードバックというのは双方向の会話でなければならない。居丈高な態度は会話を不可能にし、独白にしてしまう。(Kindle, location 3949)


会社というのはチーム活動だから、本人にどれほどの才能があろうと、チームメンバーとして信頼されなければその才能を成果には結びつけられない。(Kindle, location 2911)

【読書メモ】「ゼロ・トゥ・ワン」を読んで「未来への進み方」についてまとめた

本日の読書メモは「ゼロ・トゥ・ワン」。著者はPayPalマフィアのリーダー、ピーター・ティールさん。著者と糸井重里さんの対談、「賛成する人がいない、大切な真実とはなにか。」もオススメです。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

世界の「隠れた真実」を探す

著者は採用面接で必ず「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」と問いかけるそうです。そして、そうした「隠れた真実」について考え続けることの重要性が語られます。

隠れた真実を探そうという志を持つ人はまず、こう自問する。新しい何かが発見できるなら、世界のどこかで自分より賢くクリエイティブな人たちがそれをすでに見つけているのでは? そういった疑念の声によって、隠れた真実を探し始める前に諦めてしまう。世界は大きすぎて、ひとりの力では何もできないと感じてしまうのだ。(Kindle, location 1770)

前回まとめた「0ベース思考」にもこういうことが書かれていましたね。

今僕たちにできるのは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなく、より良い未来を創ること──つまりゼロから1を生み出すことだ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。(Kindle, location 3204)


あいまいな世界では、選択肢が無限に広がっていることが好ましい──お金を使ってできることよりも、お金自体にはるかに大きな価値があるとされる。お金が目的達成の手段となり、目的ではなくなるのは、具体的な未来においてだけだ。(Kindle, location 1289)


未来をランダムだと見る世界では、明確な計画のある企業はかならず過小評価されるのだ。(Kindle, location 1426)

価値ある企業をつくる

シリコンバレー屈指の起業家・投資家である著者の経験談も最高に面白いです。

「誰も築いていない、価値ある企業とはどんな企業だろう?」この質問もまた見かけより難しい。というのも、大きな価値を生み出すだけなら、企業自体が価値ある存在でなくても可能だからだ。企業は価値を創造するだけでなく、創造した価値の一部を社内にとどめなければならない。(Kindle, location 524)


資本主義は資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下ではすべての収益が消滅する。だから起業家ならこう肝に銘じるべきだ。永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行なってはならない。(Kindle, location 550)


すべての起業家は、自身の市場でラストムーバーとなるような戦略を立てるべきだ。まずはじめに、こう自問しなければならない──今から一〇年から二〇年先に、世界はどうなっていて、自分のビジネスはその世界にどう適応しているだろうか?Kindle, location 2819)


先手を打つのは手段であって目的ではない。本当に大切なのは将来キャッシュフローを生み出すことであって、君が最初の参入者になっても、ライバルがやってきてその座を奪われたら意味がない。最後の参入者になる方がはるかにいい──つまり、特定の市場でいちばん最後に大きく発展して、その後何年、何十年と独占利益を享受する方がいいということだ。そのためには、小さなニッチを支配し、そこから大胆な長期目標に向けて規模を拡大しなければならない。(Kindle, location 1080)


バイラル成長の可能性があるような市場の中の、いちばん重要なセグメントを最初に支配した会社が、市場全体のラストムーバーとなる。ペイパルはランダムに顧客数を増やすつもりはなかった──最も価値の高いユーザーを最初に獲得しようとした。(Kindle, location 2423)


バラバラの数百万ユーザーの関心を求めて争うよりも、僕たちのプロダクトを本当に必要とする数千人に訴求する方がずっと簡単だった。(Kindle, location 1022)


何より大切なのは、ヤフーが実際にどんなプロダクトを生み出すかだ。アップルに戻ったスティーブ・ジョブズは、アップルをクールな職場にしようとしたわけじゃない。製品群を絞り込み、一〇倍の改善を望める少数のプロダクトに集中した。ブランディングだけではテクノロジー企業は築けない。(Kindle, location 1004)

価値ある企業をつくる人

これから数十年の間に最も価値ある企業を創るのは、人間をお払い箱にするのではなく、人間に力を与えようとする起業家だろう。(Kindle, location 2510)


偉大な創業者は、彼ら自身の仕事に価値があるから重要なのではなく、社員みんなから最高の力を引き出せるから重要なのだ。(Kindle, location 3140)


スマートフォンで生活が変わったような気になっても、実は周囲の環境は驚くほど昔と変わっていない。前世紀の半ばから劇的に進化したのはコンピュータと通信だけだ。といっても、両親の世代がより良い未来を予想したことが間違っていたわけじゃない。その未来が自動的にやって来ると考えたことが間違っていただけだ。二一世紀をこれまでより平和な繁栄の時代にしてくれる新たなテクノロジーを思い描き、それを創り出すことが、今の僕らに与えられた挑戦なのだ。(Kindle, location 297)