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【読書メモ】「ゼロ・トゥ・ワン」を読んで「未来への進み方」についてまとめた

本日の読書メモは「ゼロ・トゥ・ワン」。著者はPayPalマフィアのリーダー、ピーター・ティールさん。著者と糸井重里さんの対談、「賛成する人がいない、大切な真実とはなにか。」もオススメです。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

世界の「隠れた真実」を探す

著者は採用面接で必ず「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」と問いかけるそうです。そして、そうした「隠れた真実」について考え続けることの重要性が語られます。

隠れた真実を探そうという志を持つ人はまず、こう自問する。新しい何かが発見できるなら、世界のどこかで自分より賢くクリエイティブな人たちがそれをすでに見つけているのでは? そういった疑念の声によって、隠れた真実を探し始める前に諦めてしまう。世界は大きすぎて、ひとりの力では何もできないと感じてしまうのだ。(Kindle, location 1770)

前回まとめた「0ベース思考」にもこういうことが書かれていましたね。

今僕たちにできるのは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなく、より良い未来を創ること──つまりゼロから1を生み出すことだ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。(Kindle, location 3204)


あいまいな世界では、選択肢が無限に広がっていることが好ましい──お金を使ってできることよりも、お金自体にはるかに大きな価値があるとされる。お金が目的達成の手段となり、目的ではなくなるのは、具体的な未来においてだけだ。(Kindle, location 1289)


未来をランダムだと見る世界では、明確な計画のある企業はかならず過小評価されるのだ。(Kindle, location 1426)

価値ある企業をつくる

シリコンバレー屈指の起業家・投資家である著者の経験談も最高に面白いです。

「誰も築いていない、価値ある企業とはどんな企業だろう?」この質問もまた見かけより難しい。というのも、大きな価値を生み出すだけなら、企業自体が価値ある存在でなくても可能だからだ。企業は価値を創造するだけでなく、創造した価値の一部を社内にとどめなければならない。(Kindle, location 524)


資本主義は資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下ではすべての収益が消滅する。だから起業家ならこう肝に銘じるべきだ。永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行なってはならない。(Kindle, location 550)


すべての起業家は、自身の市場でラストムーバーとなるような戦略を立てるべきだ。まずはじめに、こう自問しなければならない──今から一〇年から二〇年先に、世界はどうなっていて、自分のビジネスはその世界にどう適応しているだろうか?Kindle, location 2819)


先手を打つのは手段であって目的ではない。本当に大切なのは将来キャッシュフローを生み出すことであって、君が最初の参入者になっても、ライバルがやってきてその座を奪われたら意味がない。最後の参入者になる方がはるかにいい──つまり、特定の市場でいちばん最後に大きく発展して、その後何年、何十年と独占利益を享受する方がいいということだ。そのためには、小さなニッチを支配し、そこから大胆な長期目標に向けて規模を拡大しなければならない。(Kindle, location 1080)


バイラル成長の可能性があるような市場の中の、いちばん重要なセグメントを最初に支配した会社が、市場全体のラストムーバーとなる。ペイパルはランダムに顧客数を増やすつもりはなかった──最も価値の高いユーザーを最初に獲得しようとした。(Kindle, location 2423)


バラバラの数百万ユーザーの関心を求めて争うよりも、僕たちのプロダクトを本当に必要とする数千人に訴求する方がずっと簡単だった。(Kindle, location 1022)


何より大切なのは、ヤフーが実際にどんなプロダクトを生み出すかだ。アップルに戻ったスティーブ・ジョブズは、アップルをクールな職場にしようとしたわけじゃない。製品群を絞り込み、一〇倍の改善を望める少数のプロダクトに集中した。ブランディングだけではテクノロジー企業は築けない。(Kindle, location 1004)

価値ある企業をつくる人

これから数十年の間に最も価値ある企業を創るのは、人間をお払い箱にするのではなく、人間に力を与えようとする起業家だろう。(Kindle, location 2510)


偉大な創業者は、彼ら自身の仕事に価値があるから重要なのではなく、社員みんなから最高の力を引き出せるから重要なのだ。(Kindle, location 3140)


スマートフォンで生活が変わったような気になっても、実は周囲の環境は驚くほど昔と変わっていない。前世紀の半ばから劇的に進化したのはコンピュータと通信だけだ。といっても、両親の世代がより良い未来を予想したことが間違っていたわけじゃない。その未来が自動的にやって来ると考えたことが間違っていただけだ。二一世紀をこれまでより平和な繁栄の時代にしてくれる新たなテクノロジーを思い描き、それを創り出すことが、今の僕らに与えられた挑戦なのだ。(Kindle, location 297)