【読書メモ】「0ベース思考」を読んで「インセンティブ」についてまとめた
とつぜんですが今週は読書メモ強化週間!今のところ5冊分はまとめてあるので、一日一個で小出しにしていきます。姑息。
本日の読書メモは「0ベース思考」。著者はあの「ヤバい経済学」のS.レヴィットさんとS.ダブナーさん。人間行動に関するおもしろい研究が分かりやすく紹介されていて、かなり楽しく読めました。
- 作者: スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/13
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (3件) を見る
インセンティブを正しく理解しよう
まず、〈現代生活はインセンティブのうえに成り立っている〉。 インセンティブを正しく理解すること、読み解くことが、問題を理解して解決法を考えるためのカギになる。(Kindle, location 209)
そのための研究が、経済学の分野でさかんに行われてますね。行動経済学者ダン・アリエリーさんの著作「予想どおりに不合理」もオススメです。
人は「操られてる感」を覚えると反発したくなるという、あたりまえのことも指摘しておきたい。インセンティブ制度は、影響力や利益を得たいという立案者の魂胆が見え見えのことも多いから、反発する人が出てきてもおかしくない。(Kindle, location 2063)
嘘をついている人やずるをしている人は、正直な人とはちがうインセンティブに反応することが多い。このことを利用して、悪者を探し出せないだろうか?(Kindle, location 2183)
フリークみたいに考えるとは、大きくではなく、小さく考えることだ。 なぜか? まず言えるのは、大きな問題というのは自分よりずっと利口な人たちが考え抜いてきた問題だってことだ。それがまだ問題のまま残っているということから、まるごと噛み砕くのはとてつもなく難しいとわかる。そういう問題は扱いにくく、絶望的に複雑で、凝り固まった矛盾するインセンティブが山ほど隠れている。(Kindle, location 1382)
複雑なことは小さく分けて考える。そうしないと思考停止しちゃう。
何を測定すべきか、どうやって測定すべきかがわかれば、世界はそう複雑でなくなる(Kindle, location 210)
フリークが信条とする教えを一つあげるなら、「人はインセンティブに反応する」だ。これは単純明快、至極当然に思えるが、このことをしょっちゅう忘れて自滅している人が多いのにはびっくりする。ある特定の状況に関わる全当事者のインセンティブを理解することが、問題解決の基本だ。(Kindle, location 1647)
事実ならいくらでも収集できるし、実際役に立つかもしれないが、因果関係を確実に計測するには、事実の奥に隠されたものを読みとらなくてはならない。ときには進んで外へ飛び出し、実験をしてフィードバックを得ることも必要だ。(Kindle, location 600)
人のインセンティブを想像することも大切だけど、自分自身のインセンティブを理解することも必要。
知らないはずの答えを知っているかのようにふるまうのをやめなければ、調べたいという強い思いも湧いてこない。知ったかぶりをしたいというインセンティブはとても強いから、それに打ち勝つには勇気をふりしぼる必要がある。(Kindle, location 781)
誰かを説得したいなら
インセンティブへの理解は、誰かを説得する場面でも有用です。
インセンティブの設計と分析に長年とりくんできたぼくたちが学んだ教訓は、自分の欲しいものを手に入れたいなら、相手を礼儀正しく扱うのがいちばん、ってことだ。 礼節をもっていれば、ほぼどんなやりとりでも協調的枠組みに引き入れられる。礼節がいちばん威力を発揮するのは、いちばん思いがけないとき、たとえばものごとがまずい方向に行ってしまったときなどだ。(Kindle, location 2068)
1.相手が関心があると言っていることを鵜呑みにせず、本当に関心をもっていることをつきとめよう。 2.相手にとっては価値があるけれど、自分には安く提供できるような面で、インセンティブを提供しよう。 3.相手の反応に注意を払おう。びっくりしたり、がっかりしたような反応が返ってきたら、それを参考にして別のことを試してみよう。 4.相手との関係を、敵対的枠組みから協調的枠組みにシフトさせるようなインセンティブをできるかぎり考えよう。 5.何かが「正しい」から相手がそれをしてくれるだなんて、ゆめゆめ思っちゃいけない。 6.どんなことをしてでもシステムを悪用しようとする人が、必ず現れる。考えもしなかった方法で出し抜かれることもある。そんなときはカッとして相手の強欲を呪ったりせず、創意工夫に拍手を送ろう。(Kindle, location 2075)
相手の考えは事実や論理よりも、イデオロギーや群集心理に根ざしている場合が多いことを頭に叩き込んでおこう。これを面と向かって言っても、相手に否定されるだけだ。何しろ相手は、自分が気づいてもいないバイアスをもとに行動しているんだから。(Kindle, location 2592)
誰かを説得したいときに、何だって相手の主張のよいところを認める必要があるのか? 一つには、反論には必ずと言っていいほど利用価値があるからだ。そこから何かしら学んで、自分の主張を強めるのに使うことができる。自分の主張に入れ込んでいる人にはそんなことは信じがたいかもしれない。でも忘れちゃいけない、自分が気づいていないということに気づかないことはしょっちゅうあるのだ。(Kindle, location 2662)
失敗は悪者じゃない
本書には「失敗を怖れるな」とも書かれています。
マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長も、このことを知っていた。「医学でも科学でも、何かの道を歩いていってそれが袋小路だとわかるだけで、ものすごい貢献だ。その道を二度と行かずにすむじゃないか」と彼は言う。「マスコミはこれを失敗と呼ぶ。だから政府では誰もイノベーションを起こそうとしたり、リスクをとろうとしなくなるのだ」(Kindle, location 2886)
リスクをとるのも仕事のうちで、一度うまく失敗すれば、次にもう一度失敗するチャンスが得られるってことを、全員に叩き込むことだ。失敗に数千万ドルつぎ込む前に、数万ドルで終わりにできれば、ずっと多くのことをするチャンスができる」。だからこそ失敗は「勝利として認められるべきだ」(Kindle, location 2912)
失敗が悪者扱いされると、誰もが必死に失敗を避けようとする——たとえ失敗が、つかのまの挫折でしかなくてもだ。(Kindle, location 2937)
洗練(ソフィスティケーション)を極めるのがそれほど価値のある目標かどうかさえ疑わしい。この言葉はギリシャ語で「都市から都市へと渡り歩いて、哲学や修辞学を教えて報酬を得ていた、詭弁家として悪名高い者たち」を意味する「ソフィスト」から来ている。(Kindle, location 1363)
失敗しない、洗練されてるっていうのはいいこと? そうじゃないよね