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【読書メモ】「HARD THINGS」を読んで「困難との闘い方」についてまとめた

本日の読書メモは、シリコンバレーで圧倒的な存在感を誇るベン・ホロウィッツの著作「HARD THINGS」。ベンチャー経営にまつわるあらゆる困難についておそろしく真に迫った筆致で描かれていて、経営者ではない私が読んでもドキドキしました。

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

困難との闘い方

人でも物事でも、よく知る努力をしない限り、何も知ることはできない。知ることに近道はない。特に個人的な経験によって得られる知識に近道はない。努力なしの近道や手垢のついた常識に頼るくらいなら、何も知らないほうがよほどましだ。(Kindle, location 230)


私が起業家として学んだもっとも重要なことは、何を正しくやるべきかに全力を集中し、これまで何を間違えたか、今後何がうまくいかないかもしれないかについて無駄な心配をすることをやめるという点だろう。(Kindle, location 3435)


困難だが正しい決断をするたびに、人は少しずつ勇気を得る。逆に安易な間違った決断をするたびに、人は少しずつ臆病になっていく。(Kindle, location 3640)


苦闘は失敗ではないが、失敗を起こさせる。特にあなたが弱っているときにはそうだ。弱っているときは必ず。(Kindle, location 1279)


どの会社にも、命懸けで戦わなくてはならないときがある。戦うべきときに逃げていることに気づいたら、自分にこう問いかけるべきだ。「われわれの会社が勝つ実力がないのなら、そもそもこの会社が存在する必要などあるのだろうか?」Kindle, location 1703)

経営者として直面した困難とそこでの対応

不可能と思われたラウドクラウドのシリーズCの調達ラウンドとIPO手続きを通じて、私はある重要な教訓を得た──スタートアップのCEOは確率を考えてはいけない。会社の運営では、答えがあると信じなきゃいけない。答えが見つかる確率を考えてはいけない。とにかく見つけるしかない。(Kindle, location 1241)

レイオフについて

人は働いた日々を全部覚えてはいないが、レイオフされた日のことは必ず覚えているからだ。レイオフされた日のことは細部にわたって覚えていて、その細部が大きな違いを生む。あなたの会社とマネジャーたちの評判は、あなたが毅然とした態度で自分を信じ、自分のために精いっぱい働いた社員たちと向かい合えるかどうかにかかっている。もし私があなたに雇われ、必死にあなたのために働いていたら、レイオフはあなたの口から知らされたい。(Kindle, location 1420)


解雇される幹部は自分の解雇が社内や社外にどう伝わっていくか気になるものだ。これは本人に決めさせるのがよい。かつてビル・キャンベルは、私がある幹部を辞めさせる準備をしているとき、決定的なアドバイスをくれた。彼はこう言った。「ビル、きみは彼に仕事を続けさせることはできないが、彼の自尊心を守ることは、間違いなくできるんだよ」(Kindle, location 1545)


「あなたがクビにした社員は、自分は職務上何を期待されていたかを理解していたか? そしてその期待を自分が達成できていないと理解していた、とあなたは確信できるか?」Kindle, location 1983)

採用について

自分は何が欲しいのかを知る一番の方法は、その役割を演じてみることだ。肩書だけでなく、実際に行動するという意味だ。(Kindle, location 2252)


あなたが雇おうとしているのは、架空の会社で働く概念上の幹部ではない。自分の会社の今この瞬間にとって、正しい人物を雇わなくてはならない。(Kindle, location 2240)


経験を積めば積むほど、社員一人ひとり(自分を含む)に何か重大な問題があることに気づく。完全な人間などいない。だから、弱みがないことではなく、強みが何かで人を選ぶことが絶対的に重要だ。誰にでも弱点はある。人によって見つけられやすさに違いがあるというだけだ。弱点のない人間を雇おうとすることは、心地よさを最優先することを意味している。そうではなく、自分が必要としている強みを見つけ出し、その分野で世界レベルの人物を探すべきだ──ほかの重要度の低い領域に弱点を抱えていたとしても。(Kindle, location 2247)

社員のスキルと評価について

その社員が将来のスケーリングに対応できるかどうかが問題なのではない。その社員が現在の業務に対応できているかどうかが問題なのだ。社員を評価するときは、スケーリングなど特定の問題だけを評価せず、必ずパフォーマンスを全体として評価しなければならない。特定の側面だけに気を取られると誤った予断に陥りやすい。(Kindle, location 3368)


一般社員の場合には、それぞれが独自に自分のキャリアパスの充実を考えてもよい。しかし経営に携わる上級社員の場合には、動機が重要だ。間違った動機を持った人物に正しい結果を期待するのは危険な考えである。(Kindle, location 2764)

マネジャーとしての困難

プロダクト・マネジメントについて

良い製品マネジャーは目標の「What」(すなわち「何をすべきか」)を明確に定義し、「How」(すなわち「どうやったらできるか」)ではなく、その「What」が実現するまでを管理する。悪い製品マネジャーは、「How」を思いついたときに、最高の気分に浸る。良い製品マネジャーは、エンジニアリングチームと書面と口頭の両方で明瞭にコミュニケーションを取る。良い製品マネジャーは、非公式に指示を出さない。良い製品マネジャーは、非公式に情報を収集する。(Kindle, location 2054)


私が望んだのは、優先順に挙げれば、顧客に愛され、品質が高く、納期が守られる、そんなすばらしい製品だった。残念ながら、私が設定した指標はこれらの優先順位を考慮していなかった。基本的に、指標とはインセンティブである。品質、機能、スケジュールを評価し、毎回のスタッフミーティングで指標について議論することによって、部下たちは指標に集中し、ほかの目標には目もくれなくなった。指標が真の目標を言い表していなかった結果、私はチームに目標を見失わせていたのだ。(Kindle, location 2341)

チーム・マネジメントについて

アンディ・グローブ曰く、マネジャーが社員の生産性を改善する方法はふたつしかない。動機づけと教育だ。(Kindle, location 2025)


フィードバックがなければ、会社にはあらゆる意味で最適な実績を上げるチャンスはない。修正なき方針は、曖昧かつ鈍重に見える。人は、自分が気づいていない弱点を直すことはまずない。フィードバックを与えなかったために支払うことになる究極の代償、それは構造的に破綻した会社業績だ。(Kindle, location 2434)


フィードバックを与えるのは相手の成功を助けるためであり、失敗を願うからではない。相手の成功を願っているなら、それを相手に感じさせよ。感情を伝える努力をせよ。(Kindle, location 3935)


水で薄めたあいまいなフィードバックは相手を混乱させ、対処を迷わせるだけなので、いっそフィードバックを与えないほうがましだ。ただし、意地悪くあってはならない。鈍感であるのもいけない。不必要に権威を振りかざしたり、欠点を執拗に指摘したりするのは、慎まねばならない。フィードバックというのは双方向の会話でなければならない。居丈高な態度は会話を不可能にし、独白にしてしまう。(Kindle, location 3949)


会社というのはチーム活動だから、本人にどれほどの才能があろうと、チームメンバーとして信頼されなければその才能を成果には結びつけられない。(Kindle, location 2911)