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骨とワニが好きなデザイナーです

【勉強会】UXワイワイCAFE_150228_企業のWebサービスをテーマとしたシニアユーザビリティ評価

UXデザイン関連のワークショップに参加しました。ということでレポートです。シニア向けのお話ってあまり見かけないので、おもしろそうだなーと思って申し込んでみました。

概要

ユーザビリティ評価概論

 ユーザビリティとは?

  • 「ある製品が、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、指定された目的を達成するために用いられる際の、有効さ Effectiveness効率 Efficiency、及び利用者の満足度の度合い Satisfaction
  • ユーザビリティの評価方法

ユーザーテストとは?

  • 実際のユーザーに指定のタスクを行ってもらう様子を観察し、ユーザーが抱える不安・不満・不便や、操作を失敗してしまう理由を見つける。そこから適切な改善に結びつける
  • (例)テストのフロー
    • プロフィール確認・ヒアリング
      • アイスブレイク、趣旨説明、利用背景の確認
    • 思考発話しながらタスク実行 + アイトラッキング
      • 行動観察(発話・リアクション・ページ遷移・視線動向)&録画
    • → 振り返り・ヒアリング
      • 戸惑った部分などの深堀り
  • アクセス解析とユーザーテスト、どちらも大切!
    • アクセス解析 Who、When、Where、What、How many
    • ユーザーテスト:Why、How
    • 課題をユーザーテストで見つけ、アクセス解析でそれを検証するサイクルがおすすめ

ユーザーテストの種類

  • 対面ユーザーテスト
    • モニター(ユーザー)に会場に来てもらう
    • モデレーターがタスクを案内
    • 目の前で観察した行動や発言に基づき、ヒアリングで深堀り
    • 価格×(数万円n〜)、タスク実行精度○、表情の確認○、深堀○、自然な環境×
  • リモートユーザーテスト
    • モニターの自宅で好きな時間にやってもらう
    • 録画された動画を随時改修
    • あらかじめ用意した質問事項に回答してもらう
    • ある程度リテラシーが高い人向け
    • 価格○(数千円〜)、タスク実行精度△、表情の確認×、深堀△、自然な環境○
    • 実際の状況に近いのがすごいメリット!
  • そのた

なぜシニアに注目するのか

  • サービスが生きのこるためにシニア対応は避けて通れない道
    • シニアの存在感が増している
    • 消費支出全体の約3分の1が高齢者世帯によるもの
    • コンビニの来客割合も20代より50代が多い
  • 「シニアも使える」を目指すことでサービスを洗練させられる
  • ユーザビリティの感度が増し、自分で問題に気づきやすくなる

シニアのWeb利用実態

シニアユーザーの傾向と対策

ワークショップ(2時間)

5人のグループに分かれて2時間ワーク。

流れ

  • まずは対象のサイトをチェックし、仮説をたてる
  • 録画されたユーザーテスト(全6本)をみる
    • 調査対象者はもちろんシニア
  • 問題点や改善のヒントを抽出する(とにかくふせんに書き出す作業)
    • 仮説との照らし合わせ
    • タスク達成の妨げ、戸惑い、時間がかかったところ
    • 発言内容、行動反応
  • 問題の分析(ふせんを模造紙に広げてまとめていく作業)
    • 利用ステップごとに問題点をまとめる
    • 問題点のマッピング
      • 発生頻度(高/中/低) × 効果/効率/満足度 の6象限
  • まとめ
    • 改善案の作成
    • テスト結果を5分くらいでで説明できるようにしておく
  • 発表・講評
    • 発表後、最後の講評の時にクライアントさん(対象のサイト担当者)登場というまさかのサプライズ…!

f:id:takana8:20150228224009p:plain 分析でうまれたふせんたち

やってみて気づいたこと

  • 「シニア特有」の問題というのは意外と少なく、ポイントとなるのは年齢(世代)よりむしろリテラシーの高さなのかも、ということが分かった
    • シニアだからといって、ユーザビリティで気をつけるべき内容が若い人と大きく異なるということはないっぽい。だからこそシニアを意識してつくっていれば、最終的により多くの人にとって分かり良いものになりやすい
  • 6本のテスト動画を全員で見ようとすると圧倒的に時間が足りないので、必然的にメンバーで分担してみることになる。なのでうちのグループでは、はじめにみんなで短めの動画を一本見てみて、どんなことを書きだすか認識をすりあわせたようとしたりした
    • とはいえ各人が見ている動画が違うので、情報量に差が出る、というか書き出す内容の意味が理解し難いみたいな状況になりがちで、やっぱり時間がかかる
    • このへんは、何度かやっていくうちに洗練されてスピードも上がっていくものなのかな…?とはおもいました

全体を通して

年末年始にデジハリにてサービスデザインワークショップのTAを経験して以来、ワークショップデザインというところにもわりと興味がありまして。今回は、それが本当に良くできていて、参加者としてすごくハラオチ感がありました。後から流れを思い返してみると、つまづきポイントや気付くと良いポイントがしっかり用意されてるということが発見できたりして、なるほどなーと思ったり。グループ分けの方法*1やテスト動画の長さ*2など、細かいところがほんとよくできてる…。

また、参加者が真面目であればあるほど分析自体の完成度を高めたくなってしまいがちで、「そもそも何のためにこれをやってるんだっけ」「考えたいポイントはなんだったっけ」というのをつどつど思い出すようにしないと、話の進みが遅くなるんだーということがよく分かりました。

なによりクライアントさんを実際に登場させるというサプライズがすごい。たしかに、ユーザーテストをあーだこーだ分析する様子をクライアントさんに実際に見せるというのは、クライアント的にも実施者的にも得るものが大きいですよね……。これこそが実践的な巻き込み力なんだなあということで勉強になりました。

たのしかったのでまた行きたいですワイワイ!

*1:はじめはみんな自由に各机の席に座らせといて、あとでそのグループのうち1つを解体して他のグループに振り分け、グループ内の多様性を担保する

*2:基本は一本10〜15分なのに、一本だけ3分ほどと短く、とりあえずみんなで一度見てみようってなりやすくなってる