【読書メモ】人間中心設計の基礎 第1章
- 作者: 黒須正明,松原幸行,八木大彦,山崎和彦
- 出版社/メーカー: 近代科学社
- 発売日: 2013/06/03
- メディア: ムック
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人間中心設計とは(p2)
- ISO9241-210 「対話システムの利用に焦点をあて、人間工学やユーザビリティの知識や技法を使って、そのシステムをより使いやすくすることを目指すシステム設計開発のアプローチ」
- 対話システム(interective system) 「ユーザーから入力を受け取り、そこに出力を返す、ハードウェア、ソフトウェア、それと/またはサービスの組み合わせ」:パッケージ、ブランディング、ユーザー向けの文書、オンラインヘルプ、支援や訓練
HCDとUCD(p4)
- UCD
- Norman & Draper:ユーザーのニーズ(内的プロセス)を重視した設計を強く推奨
- Shackel & Richardson:ユーザーがどんなひとか、どんなタスク(外的事象)があるのかを理解せよと述べた
- 前者は認知工学を、後者は人間工学を専門としていた
- ここでは、「人間」という漠然とした概念ではなく、「ユーザー」というかたちで対象を明確化していた
- HCD
ISO13407とISO9241-210
- ISO13407
- HCDに関する原典ともいえるもの。1999年制定
- 原則
- ユーザーの積極的な参加やユーザーおよび仕事の要求の明確な理解を行うこと
- ユーザーと技術に対する適切な機能配分
- 設計による解決の繰り返し
- 多様な職種に基づいた設計
- メリット
- ユーザーの理解や使用を用意にし、訓練やサポート費用が削減できる
- ユーザーの満足度を向上させ、不満やストレスを緩和する
- ユーザーの生産性や組織の運用効率を改善する
- 製品の品質を改善し、ユーザーにアピールし、商品の競争力を有利にすることができる
- ISO9241-210
- ISO13407が2010年に改定され、ISO9241-210になった
- 原則
- ユーザーやタスク、環境に対する明確な理解にもどついてデザインする
- 設計や開発の期間を通してユーザーを取り込む
- 設計は人間中心的な評価によって駆動され、また洗練される
- プロセスは反復的である
- 設計はユーザエクスペリエンスの全体に焦点をあてる
- 設計チームには多様な専門領域の技能と見方を取り込む
- メリット
目標達成(p7)
- HCDやユーザビリティの分野では、基本的に目標達成を念頭におき、目標達成が有効に効率的にできることを目指す
- ユーザーが目標に到達するまでに、途中で頓挫してしまったり、迂遠な道を辿ってしまったりすることがないように、有効(目標に到達できる)かつ効率的(目標に早く到達できる)にするのがHCDやユーザビリティの基本的な枠組み
ユーザーの多様性(p8)
- 多様なユーザーに対してユーザビリティを保証していこうとする動きはユニバーサルユーザビリティと呼ぶ
- 人工物を利用するためにそこに接近(アクセス)しやすいかどうか、をアクセシビリティという
- 接近したうえで、その人工物が使い(ユーズ)やすいかどうか、をユーザビリティという
- ISO/IEC25010以前のISO規格では、ユーザーという概念に対して微妙な違いのある定義を与えており。明確な定義が与えられていなかった
- ISO/IEC25010によるユーザーの区分
- 特性の多様性
- 年齢、性別、障害、一般的身体特性、人種と民族、性格、知識、技能 など
- 志向性に関する多様性
- 文化、宗教、嗜好、社会的態度、価値態度 など
- 状況や環境に関する多様性
- 精神状態、一時的状態、経済状態、物理的環境、社会的環境 など
- ユーザーを取り巻くこうした要因を利用状況(context of use)ともいう
- ISO9241-210:2010では、利用状況という概念にユーザー自身も含めており、それを「ユーザーやタスク、装置(ハードウェア、ソフトウェア、材料)および製品が利用される物理的・社会的環境」と定義されている
- ISO規格におけるユーザーの多様性
ユニバーサルデザイン
- 多様なユーザーに対して、それぞれの特性や利用状況に適合した形で人工物を設計し、それぞれのユーザーが確実に目標を達成できるようにすること
- Mace, R.の定義と7つの原則(1997)
- 定義
- 「できる限り最大限すべての人に利用可能であるように、製品、建物、空間をデザインすること」
- 7つの原則
- 公平に使えること(Equitable Use):デザインは、多様な能力を持った人々に使いやすく売れるものであること
- 柔軟に使えること(Flexibility in Use ):デザインは、好みや能力が人によって異なっていることに適応していること
- 単独で直感的に使えること(Simple and Intuitive):デザインされたものは、経験や知識、言語能力やその時の集中力の水準に関係なく、容易に使えるものであること
- 情報が知覚できること(Perceptible Information ):デザインは、周囲状況やユーザーの感覚能力に関係なく、効果的に情報を伝えられること
- 失敗に対して寛大であること(Tolerance for Error):デザインは、偶然に、あるいは意図せずに何かをしてしまっても、危険な結果や不利な結果に至る可能性を最小に抑えること
- 身体的な努力を少なくすること(Low Physical Effort):デザインは、効率的に、また心地よく使えて、疲労を最小に抑えるものであること
- 接近して使えるように大きさと空間の余裕を確保すること(Size and Space for Approach and Use):ユーザーの身体の大きさや姿勢、移動能力に関係なく、接近し、手が届き、操作をし、利用できるよう、適切な大きさと空間の余裕を確保すること
- ユニバーサルデザインは実質的にユーザビリティデザインと同じであると見なせる。これらの違いは、人間(ユーザー)の多様性を強調するのがユニバーサルデザインといえる
- 定義